アンゲリカも予想外の水攻めに目を白黒させながら、咳き込んでいる。すでに水はないので、服も髪も濡れていないが、水に溺れた感触だけは残っているのだ。わたしはこの間も体験した。<br><br>「ローゼマイン様、何という量の水を呼ぶのですか?」<br><br> わたしに圧し掛かられたまま、ぐてっとしているダームエルにそう言って軽く睨まれ、わたしはそっと視線を逸らす。<br><br>「魔力量で呼ばれる水の量がこれほど変わるなど、初めて知りました。以後、気を付けます」<br><br> ……洗浄の魔術、恐るべし。<br><br><br><br>「ローゼマイン、悪いが、午後に予定がなければ工房に入れてくれないか?」<br>「はい?」<br><br> 次の日、お手伝いに向かうと同時に神官長にそう言われた。<br> 工房へと持ち帰ったインクで色々と実験してみよう、と昨夜一晩工房に籠っていた神官長が様々な紙や布、木札に試し書きをし、仮眠を取って起きたら線が全て消えていたらしい。<br> わたしの工房に置きっぱなしだった布がどうなっているのか知りたくて、待ち構えてたのだそうだ。きちんと約束を守って工房から出てきていることに感心していたのが薄れていく。<br><br>「インクが消えるのですか? 工房に入るのは構いませんけれど……もし、インクが消えていたら、使えませんよね?」<br>「このインクが使えなければ、余計なことをせずにおとなしく刺繍をすればよいだけの話だ。何の問題もない」
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